比例道
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ねじの締めすぎ

みんな力入れすぎ

趣味で機械素人さんと共同作業をする機会があるが、みなさんねじやボルトを締めすぎる傾向がある。自分の腕力の限りきつく締めようとする。その結果、雌ねじの山を潰したり、ねじの頭をなめたり困ったことになってしまう。

ねじは緩むもの

ダブルナットやゆるみ止め材を使わないかぎりねじは緩むものだ。したがって、強く締めてもゆるみ止めに対してさほど効果がないことを知ろう。むやみに力を入れても仕方がないことが分かれば,ねじをつぶすリスクも下がる。

トルクレンチを使おう

シングルナットだがねじが緩んでほしくない場合もある。身近な例としてはホイールの取り付けナットとエンジンヘッドの取り付けボルトだ。そのようなものには必ず締め付け推奨トルクが規定されている。トルクレンチを使って推奨トルクまで締めておこう。トルクドライバーというものもあるが、これは余り使われない。

トルクレンチを使えない場合は経験あるのみ

世の中には推奨締め付けトルクが規定されていない機械が山のようにある。PCや玩具などだ。これらの機械に使われているねじの締め付け具合は経験で身に付けるしかない。安西先生ではないが100万回も締め付けをすれば自然と身に付くだろう。力加減に影響するパラメーターは

  • ねじ径
  • めねじ山数
  • ねじとめねじの材質
  • ねじとめねじの経年劣化度合い
  • ねじ山加工精度
  • ねじ山の痛み具合
  • ねじ部に期待される結合強度
  • 再度ねじを回す機会の有無と回数


などだ。プロと言えども何度もねじ山を潰しながら加減を身につけていく。(左手は添えるだけ...ではもちろんない)

ねじの締結部の設計に設計者のセンスが現れる

機械をみたときに、ねじ部の作りでその機械の設計者の腕が分かる。工具の柄がひっかかって締め付け動作ができないような設計を見ると、見習いからやり直せと言いたくなる。逆に機械の寿命が尽きるまでねじ山が持つような材質とねじ径とねじ山数を選んだ設計を見ると感心してしまう。プロの目から見るとアルミケースで有名になった星野金属のケース(特に初期のもの)は呆れるほど出来が悪い。ねじ径の選定、雌ねじの材質の選定、有効長の選定、雌ねじの切り方、雄ねじの頭形状の選定、全てド素人の仕事である。もしかして設計したのは電気屋さんかと思ってしまう。機械屋であれば、学校出たばかりの新入社員でもあれほどひどい設計はしない。ケース(MTpro1000)を買ってきてサイドパネルのねじを回し始めて唖然とした。これはひどい作りだと。普通に使っていたら早晩ダメになることに気付いた。そこで、腫れ物に触るように丁寧に使っている。そのため今現在でも破損はしていないが、雌ねじの摩耗が進んだため、摩擦力が足りなくなって緩みがちだ。私が設計したら、あとワンサイズねじ径を大きくして、有効長は今の倍以上に、そして雌ねじ部分の材質に補強を入れる。一般的にサイドパネルのねじは回す頻度が高いと思うが、あのケースの作りではねじが緩んだり、ねじ山が潰れたりのクレームが多かったのではないかな。