比例道
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diary/20060607

包丁研ぎ

一ヶ月ぶりに包丁を研いだ.切れるようになると気持ちが良い.包丁の研ぎ方については検索エンジンで「包丁」「研ぎ」と入れればいくらでも良いサイトが出てくるので,ここで解説はしない.子供の頃はナイフを研いでいたが,研ぎ上がったときに今ほどの充実感はなかった.この差はナイフはめったに使わないが包丁は頻繁に使うという違いから来ているのだろう.車の整備でも普段走らせている車の方がやりがいがある.以前は4ドアの乗用車とヴィンテージのスポーツカーとサーキットでしか走らせないレーサーを持っていた.いちばんいじりがいがあったのは4ドアの乗用車だったりした.使用頻度が乗用車>レーサー>ヴィンテージカーだったからだ.自分でいじった道具を使うのは楽しいものだ.
包丁研ぎで充実感が味わえるもうひとつの要因として,劣化したものを復活させるのが楽しいということがある.スクラップのバイクや車をレストアして走るようにする作業,壊れたオーディオ機器を修理する作業は趣味としてみるとひどく楽しい.劣化した(=性能の劣った)ものを自分の力で復活させる(=性能を上げる)ところがワクワクするところだろう.これは植物を育てたり,動物を育てたり,はたまたゲームのキャラクターの経験値を上げたりとも通じる楽しみだ.また,将棋で奪った敵の駒を活用することや,自分の弱い駒で敵の強い駒を取るという楽しみにも通じる.どうも始めから欠点のない万能のものを与えられたらつまらないと感じるようだ.欠点のあるもの,あるいは弱いものを育てていくのが楽しみに通じるのだろう.
話を包丁研ぎに戻すが,包丁研ぎは実は学校では教わらない.調理師学校では教えるのかもしれないが,刃物を一番扱う機械工学科では砥石を使った手研ぎは教えない.砥石を機械で動かす研削盤やグラインダーの使い方だけを教える.手研ぎは2コマの実習時間では身に付かないからだろうが,それでもぜひカリキュラムに入れてほしい.家に帰って実際に役立つのは手研ぎの技術だからだ.