比例道
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diary/20060811

燃費向上インチキグッズ

娘がTVで燃費がよくなるグッズの実験を見たとのこと。「ハンドルの横の筒に差し込む機械で燃費がよくなるのは変だ」と感想を述べていた。ハンドルの横の筒とはシガーライターソケットのことだろう。おそらくはキャパシターを内蔵した機械を燃費向上グッズと称して売っているのだろう。あの手のグッズは100%インチキなのだが、結構売れている。まじめに議論すると、これらインチキグッズにだまされる原因はゆとり教育であり、それらのために論理的思考の源になる理科や算数の能力が減少してきているからだとなる。しかし、もうこれは一種の宗教やファッションみたいなもので、使うのは個人の自由と考えた方が腹が立たない。携帯に貼る受信感度アップシールや、山田奈緒子の母君が販売している文字の力グッズのようなものだ。
それでも、おそらく数ヶ月もしたら詐欺だとの訴えが起こり、業者が逮捕されるとは思う。アメリカの方が日本に先駆けて売れているそうだから、訴訟か起こるのはアメリカが先だろう。それをきっかけに燃費グッズブームは下火になっていくと予想する。カーマニアでも燃費のメカニズムをきちんと説明できる人は少なく、自動車専門学校でエンジン整備を学んだ人にもなかなかに厳しいテーマだ。それくらい燃費を議論するのは難しい知識が必要だ。
私の大学は機械工学科に動力機械工学専攻というのがあって(今は航空宇宙工学専攻という今風の名称に変わった)、そこでエンジンのことを教わる。理論だけでなく、エンジンの設計(私は2800ccの6気筒を設計した.)やエンジンの製図などを実習で学ぶ。実習は楽しかったが、理論は構造力学と流体力学と熱力学と化学を理解せねばならず難しかった。そこの卒業生でも自動車メーカーのエンジン設計屋さんの知識とはずいぶん乖離がある。その設計屋さんがしっかり考えて設計したエンジンの燃費がDIYでくっつけられるグッズで改善されると思うとは、設計屋さんに失礼だ。まあ、日本の車は100km/hを超える領域では燃費改善の余地があるのだが、それはコストも考えてそのように設計しているのであって、設計屋さんの力不足ではない。