比例道
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diary/20061030

3人寄れば文殊の知恵

諺に「3人寄れば文殊の知恵」「船頭多くして舟陸に上る」というものがある.この2つは相反することを述べているが,どちらも真理と言える.この2つの諺が矛盾することなく存在できている意味について考えてみると,ひとつの仮説が得られる.それは,グループで何か相談する場合に最適なメンバー数が存在するのではないかということだ.
メンバー数が増えると知識と処理能力の総和が増えるというメリットがある.ただし,メンバー数の増加に伴い調停・調整のコストが増えるデメリットもある.知識と処理能力の総和はメンバー数に比例するが,調停・調整コストはメンバー対の数すなわちメンバー数C2(=概ねメンバー数の2乗)に比例する.するとメンバー数を増やしていくと最初はメリットの方が上まわるが,メンバー数が増え過ぎるとデメリットの方が大きくなって舟が陸に上ってしまう.この考え方だと最適解がひとつ求まるはずだ.調停・調整コストはメンバーを構成する人の性質によって増減があるから,それはパラメーターとなるが,解がひとつである予想に変わりはない.
実例を思い浮かべてみると,複数メンバーで創立した会社でうまく行っているのは,本田,SONY, Apple, Googleなどがある.どれも2人で始めた会社だ.3人以上で始めた会社がうまくいったという例は私は知らない.また創始者が1人という会社は星の数ほどあり,うまく行っている会社も星の数ほどある.これらの実例からすると最適解は1人か2人なのだろうか.予想外のつまらない結果になってしまった.会社経営というのは特別な場合で,これらの諺をそのまま当てはめるのには不適当な対象なのだろうか.
会社経営を一旦脇において考えると,そう,戦隊物やジャニーズ系のグループで成功しているのは5人というのが多い(そもそも5人じゃない戦隊物はないように思うが).5人が最適というのはそれらしい解に見える.会社経営のようにその責任を問われる決断に関しては1ないし2人が最適で,あんまり頭を使わない(戦隊メンバーさんごめん)決断に関しては5人辺りが最適ということか.最適メンバー数は決断の内容に依存して変わるというのはありそうな結果だ.いずれにせよ,どのような内容でも10人以上で相談するのは賢いことではなさそうだと直感的には思える.
そうすると国会のような大人数会議よりは,小人数(賢人会とか貴族院というのだろうか)で相談した方が良いことになるが,これは歴史的に見ても少々信じ難い結論だ.小人数で決めた政事(まつりごと)が良かった例をあまり聞かない.あ,そうか!今の国会で議論していることは戦隊メンバーさんよりも頭を使わないで済むことなので,あれくらい大人数でもOKということか.
というのは冗談で,今の国会は議論の場というよりは多数決の場,すなわち国民の代表による国民投票代行の場であるから,人数は多ければ多いほど良い.逆に言うと国会に十分な議論を期待するのは筋違いということになる.同じことは国連にも言える.