比例道
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diary/20070102

特別攻撃隊

年末に録画しておいた太平洋戦争の硫黄島の番組を見た。硫黄島の戦闘については歴史書や戦史にて十分に知っていたが、番組として見せられると新たに悲しみと怒りが湧いてくる。日本兵は勇敢で知られているが、負け戦になると自決してしまうのを見ると本当に勇敢と言ってよいのか疑問になる。降伏が許されていないから、みな死兵として戦う以外にはなく、そのために必然的に勇敢になっているに過ぎないのではないかと思う。死兵が勇敢であるのは日本に限ったことではなく、欧米の兵隊でも勝利か死かという状況ではみな勇敢になる。
敵への痛手を最大限にするためには、捕虜になって敵にその管理稼動を発生させるのも手だし、遊撃兵となって攻撃を続けるのも手だ。日本兵は一見ゲリラ戦に強いようなイメージがあるが、文化的背景から実は苦手だ。日本人は周りに合わせるのが美徳であるとの考えが根底にあるため、自分で判断せずに回りの判断に合わせて動いてしまう性質を持つ。これは軍隊の集団行動には都合の良い性質だが、自らの責任で判断して行動しなければならない遊撃兵にとっては向かない性質だ。
特別攻撃隊でも周りに合わせるという日本人の性質が裏目に出て、犠牲の割に効果の薄い攻撃方法だと分かっていても、反対する人は少なかった。これは周りに合わせたということもあるが、他に国や家族を守る方法がなかったからということもあるだろう。通常爆弾での反復攻撃ができる技量を持つベテランパイロットでさえ、特攻隊として出撃していった。統計データによると約2千機(統計により異なる)の特攻機が出撃したが、正規空母、戦艦、巡洋艦などの主要艦艇は1隻も沈めることができなかった。このデータから特攻攻撃は愚かな攻撃方法であると歴史家は結論付けている。養成するのに時間のかかるパイロットを無駄に消耗させたのだから、戦略的には失敗であることはまちがいない。ただし、統計データを良く吟味すると違った見方もできる。撃沈30隻強、損傷300隻弱なのである。実に1〜2割の命中率を達成している。これは爆撃の命中率としては決して悪くない。出撃したパイロットの中には飛行時間数十時間の新兵もいたと聞く。援護戦闘機のいない状況で米軍の対空砲火をかいくぐって、これだけの命中率を上げたのは、ひとえにパイロットの国を思う信念が成し遂げた結果だと信じる。