比例道
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diary/20070514

特許法改正

2007年4月1日から改正された特許法と審査基準が施行された.一般の発明者には,改正された条文だけを読んでも改正の具体的な影響がわかり難い.あちこちから伝聞による不確かな噂が流れてきてそれに振りまわされている発明者もいる.そこで,改正の影響について何とか一般の発明者にも分かる書き方をしているところはないかと探してみたらいくつか見つかった.
「分割・補正等」の審査基準改訂について
木森国際特許事務所所長のブログ
我々発明者が注意すべきは発明の単一性(37条)違反であった場合それだけで出願は拒絶され審査を行わないという部分および,木森事務所所長さんのブログにある,

 (1)分割出願が特許査定された段階でも認められるようになりました。
 また、もとの出願での拒絶理由が解消されていない分割出願には、「最後
 の拒絶理由」が通知された場合と同じ制限が課せられます(特許法第50
 条の2等)。
 (2)最初の拒絶理由通知を受けた後は、審査対象を技術的特徴の異なる
 別発明に変更することが制限されました。

部分と思われる.
ただし,これらの変更は歓迎すべきものである.これまで,進歩性も新規性も無い広い範囲の請求項で出願しておいて,審査官の目をすり抜けて通ればそれで良し,よしんば拒絶されても拒絶理由が解消するように分割補正を繰り返して特許を通すという姑息なテクニックを駆使する出願者がいた.これにより,本来は特許査定すべきでない特許が審査官の目をすり抜けて査定され,その特許の周辺技術を使う人々に多大な迷惑をかけるという事例が多発していた.今回の改正により,この姑息なテクニックが使いにくくなるはずなのでこの迷惑が減るものと予想する.喜ばしいことだ.私は法学のゼミに3年間参加していたことがあるので,法律についての基本概念は一通り身に付けている.その目で見ると,他の法律に比べて特許法は改正の度により合理的なものに変化していっている.すばらしいことだ.特許法を作成している方々は,法律家としての実力だけでなく,世の中でその法律がどのように運用されているか,法律の抜け道を利用して悪事を働いている輩はどのような手口を使っているかなどをよく勉強して法律を作っていると感じられる.世間知らずとよく揶揄される他の法曹界の人にくらべ,特許法に関わる人は立派な仕事をしている.評価したい.