CTLでシステムトレード(旧為替の一歩)
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diary/20100430

テクニカル分析の迷信その後

テクニカル分析の迷信は700頁のうち300頁は統計学についてのみ書いてあり,統計学を学んだ人はここを飛ばして読めるが,そうでない人はここが理解するのが最も難しいところになる.統計学の専門書より分かり易く書かれているが,平易に書こうとするあまり必要な記述を省いてしまっており,却って分かり難くなっているかもしれない.
私は統計学の部分からは新たに得るものはなかったが,トレード手法のパフォーマンスを評価するときにはベンチマーク(予測能力を持たない手法のリターン)を用いるというところは,目から鱗だった.いわゆるバックテストで儲かった儲からないとだけ評価するのは適切ではなかったのだ.なぜなら,バックテストの期間が上昇トレンドだった場合,ランダムに期間の60%を買い,残りの40%を売りとするルールは儲かってしまうからだ.儲かるからと言って,このルールがトレードに有効でないのは,その性質から明らかだ.どんなにバックテストの期間を長くとってもベンチマークを用いなければルールの評価は正しく行えない.この事を知っただけでも本書を読んだ価値があった.
他に面白かったトピックスはヘッド&ショルダーが機能するか否かについては,機能しないという研究結果があるということだ.私は機能すると思っていたが,それは幻想だった.
また,エリオット波動やギャンアングルについては私もそう思っていた通り,科学的根拠のないオカルトだと断定されている.
もし,エリオット波動を使って長期間に渡り儲けている人がいたら,それはエリオット波動に何らかのフィルター(意識していないかもしれないが)を追加して使っているのだろう.そのフィルター部分にこそエッジがあるのだ.似たような話で,ストキャスティクスインディケーターだけで取引して儲けている人の話を知っているが,その人のストキャスの使い方は普通の人の使い方とは違っていた.独自の使い方にこそエッジがあるのだろう.それらのエッジのある手法は客観的に評価するとプラスのリターンが導き出されると思われる.つまり,彼らの儲けの理由はエリオット波動やストキャスティクスではなく,独自手法にあるのだ.ところが,彼らの手法の詳細を知らない人から見るとエリオット波動やストキャスティクスで儲けているように見えて,エリオット波動やストキャスティクスが機能するという幻想が生まれてしまう.

FXを始めてから

2年と85日経過