比例道
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diary/20070112

悪党の手口

世間では政治家や公務員の不正が毎日のように新聞に載る。それに比べると民間企業は清廉潔白ではないかと思いがちだが、さにあらず。税金の無駄遣いはけしからんという論点が使えないから追求されることは稀だが、政治家や公務員と同じように悪どいことやずるいことをしている。私は複数の会社を渡り歩いて来たが、どの会社でも大なり小なり不正をしていた。ただし、会社のためや社員のための不正はまあ仕方がないかな、必要悪かもしれないなと思い、特にめくじらをたてることはなかった。しかし、今居る会社での不正は額が大きい上に、一部の人の私利私欲のために行われているようだ。まったくもって情けない限りだ。
今回の手口はまあよくある話なのだが、外注費をトンネル会社を通すというものだ。トンネル会社は実在する会社だが、数億円の受注額の数割を懐に入れ、残りの額を使って下請けに丸投げしている。このトンネル会社の存在はほとんどの社員には知られておらず、これまで秘密裏に事が運んでこれたようだ。ところが、この手口を2年も続けたものだから、ところどころに綻びが出始め、事が少しずつ明るみになってきた。決め手になった事実は4つだ。

  • 2年前から突然今まで発注したこともない某国に年に数億円の発注をするようになった。これが突然だったので、ほとんどの社員はなぜ?と首をかしげた。
  • 某国が製造したプロダクトは品質が日本の基準に全く届いておらず、1年めの評価では全品が使い物にならないとのデータが出た。なのに2年めの今年も発注をした。これについても社員はみんな不思議に思った。
  • 発注担当者が「全然役に立っていない小さい会社を間に挟んでいるのは理解できない。かえって仕事の効率が落ちて困るのに」とこぼした。これによりトンネル会社の存在が私を含め他の社員にも知られた。
  • トンネル会社はわが社のOBが起こした会社だった。役所で言えば天下り用外郭組織に相当する。

これほど見事に悪のモデルケースのようなばればれの絵を描くとは、あまりにおバカだと思ったが、実は賢いのかもしれないと思い直した。発注を決めた輩たちはトンネル会社から賄賂をもらうほど大バカではないはずだ。退職後にトンネル会社に入れてもらえるような口約束はしていると思うが。賄賂をもらっていないとなると、上層部ぐるみでやっていることだから株主が騒がない限り罪に問われる心配はないだろう。うまい手口だ。
悪党どもの年収は2000万円超で結構な額だ。それだけで十分豊かな暮らしができると思うのだが、まだ金が欲しいのだろうか。彼らは精神が貧しいのだと思う。精神の貧しさはいくら金をつぎこんでも満たされることはない。哀れなことだ。