比例道
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diary/20071110

軽自動車に軽油?

最近,軽自動車に軽油を入れる人が増えてJAFの出動が増えているとのニュースを読んだ.バカだなあと笑い飛ばすのは簡単だが,Pentium3 1GHzよりPentium 4 1.4GHzの方が計算が早いからと買い換えた人とレベル的には同程度の間違いだ.パソコン通を気取って後者の間違いを犯した人を私は何十人も知っている.そんな人は軽に軽油を入れた人を笑えまい.
ところで,第二次世界大戦当時から,ガソリンでなく安い軽油や重油で回る多燃料エンジンの開発が求められていたが,結局軽油で動くディーゼルエンジン(戦車用)と,灯油で動くジェットエンジン(航空機用)の単燃料エンジンしか実用化できなかった.現在実用化されている多燃料エンジンはガソリンでもエタノール(又はエタノールを混ぜたガソリン)で動く自動車用エンジンだけだ.原理から考えるとガスタービンエンジン(ジェットエンジン)ならば多燃料エンジンを実現できるのだが,実用化されているガスタービンエンジンは,航空機用も戦車用も発電機用も単燃料で運用している.これは,他の燃料を入れると回らないからではなくエンジン寿命や燃焼制御系のコスト,そして運用時の整備コストも考えると多燃料エンジンの経済性は却って悪くなるからだ.量産化された唯一の地上を走るガスタービンエンジン搭載車である米国のM1エイブラムズは,開発時には多燃料化の目標はあったかもしれないのだが,結局それは果たせず単に整備性の悪い単燃料エンジンになってしまった.同クラスのレオパルド,チャレンジャー,ルクレール,そして90式は,整備性を考えてみなディーゼルエンジンだ.
多燃料エンジンの実用化は,バックトゥザフューチャーのデロリアンのように物質を直接エネルギーに変えるエンジンの出現まで待たなければならないだろう.いや,自転車に乗る人間は米でもパンでもバナナでも動力に変えて走ることができる.生物の力を使ったバイオエンジンならば多燃料エンジンを早期に実現できるかもしれない.実際馬車は人参でも干し草でも走るではないか.