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web2.0への警告

web2.0は軽薄な技術


昨年からweb2.0が騒がれているが、その内容を知るに付け「馬鹿じゃないか+危ないぞ」と思えてならない。web2.0のベースアイディアはネット上の分散あるいは協調の概念だが、そんなものは以前から存在していた。以前からあったものを再発見するのが無意味とは限らないが、騒ぎ立てるほどのことは無い。そのようなものを声高に議論しているのが愚かしく軽薄に見えるのは当然だ。web2.0のサービスを実現するのに安直かつ勝手にきめた手続き(プロトコルや文法等)を平気で利用していることも軽薄とみられる要因だ。その手続きが最適であるとか、合理的であるとかの吟味議論が少なすぎる。どうも議論よりもスピード重視の風潮がある。web2.0がもともと底の浅い技術であるから成果は早いもの勝ちの傾向があり、ついつい焦ってしまうのだろう。まあ、これらだけなら軽薄な研究者や技術者が焦って薄っぺらなものをでっちあげましただけで済む話だ。放っておけば良い。

web2.0のもたらす危うさ


危ないと思われる部分はweb2.0という言葉を宣伝している連中とそれに迎合しているお調子者が相当数居ることだ。このままではweb2.0というどうにでもとれるマジックワードが社会的地位を得てしまう。
先ほどweb2.0の手続きの議論が不足していると述べたが、そのためこの手続きは無意味に複雑化して理解しにくいものになりがちだ。複雑なものが発生した場合、それがたとえ無意味でもそれを理解するのが尊いという考えが生まれる。web2.0という言葉が社会的地位を持つとなおさらその傾向が強まる。するとweb2.0という言葉を操る側とそれをよく分かっていない側の間で搾取、被搾取の関係を作ることができるようになる。当然それを悪用する輩が出てくる。web2.0関連のIT話を持ちかけて出資を募る輩がたくさん出てくるということだ。カモになるのは、税金による資本を持っている政府系機関や技術の中身が分からない人が経営している企業だ。web2.0のようにどうにでもとれるし本質の掴みにくい言葉はインチキを隠すための最高のカモフラージュになる。金銭的な不正だけでなく、自分の努力不足や実力不足を隠したい研究者や技術者の保身のための隠れ蓑としても使われるだろう。

前例


似たような例が証券市場のデリバティブ商品だ。あれは中身を理解してしまえば全くもってくだらない概念なのだが、NASAの落ちこぼれの頭脳を使って不必要に複雑に作ってある。無意味な複雑さは必ず胴元が勝つようになっている商品の不公平さをカモフラージュしてくれる。するとそれにだまされて資金を吸い上げられるカモの資本家が出てきてしまう。最近のデリバティブ商品は、カモを生み出すのが目的に作られたものなのだ。デリバティブ商品にはリスクヘッジに使われる単純先物以外ではまっとうなものは存在しない。
複雑さでユーザーを煙に巻いているもうひとつ分かりやすい例がMicrosoftのofficeソフトだ。ほとんどの企業を麻薬のように蝕んでいるあのソフトのポイントは、アプリケーションとOSとの連携が無意味に複雑化していることだ。もし、あのソフトの構成がよく吟味議論された合理的なものだったらどうなっていただろう。おそらく、作成したドキュメントファイルはOpenOfficeやその他のユーザーが作ったアプリケーションからも利用しやすくなってとても便利になっていただろう。しかし、無料のOpenOfficeで問題なくハンドリングできるのなら誰もMS Officeを買わなくなる。わざとわかりにくい非合理的な構造にするところにMS Officeの汚さがある。無意味に複雑化するものの背景には「分からない人から搾取しよう」という考え方が潜んでいるのだ。

web2.0の扱い方


今後web2.0の名の下に無意味で訳の分からない手続きが大量に提案されるだろう。流行だからとそれに迎合するのではなく、しっかり中身を理解して取捨選択しないと、とんだババを掴むことになりかねない。