比例道

共産主義失敗の理由が誤解されている

2021年8月8日 07:00 ・ 人工知能 ・ 歴史 ・ 社会 ・ 経済 ・ 元の記事
スターリンが国民を2000万人虐殺したとか、毛沢東が8000万人殺したとか、ポルポトが300万人殺したとか、習近平がウイグル・チベットの人を殺しているとかが知れ渡って、共産主義は悪の教義と思われている。そして悪は滅びるべくして滅んだと思っているようなら、それは誤解だ。悪の中国共産党はまだ存在していることから悪だから必ず滅ぶ訳じゃない。キューバでは国民全員が貧乏だがひどい人権侵害は起きていないことから、共産主義が必ず悪を呼ぶとも限らない。
共産主義が失敗したのはひとえに「計算能力の不足」のためだ。そしてこの不足は今では資本主義にも襲い掛かろうとしている。
共産主義では何の計算が足りなかったのか。それは有名な計画経済の計算だ。資本家の存在を否定する共産主義では物の生産手段はすべて国有だ。その生産手段を使って、どんな物をいくつ作るべきかは国家(共産党)が決めなくてはならない。その計算が大変難しい。日常生活で必要な物、電気や水を作るのに必要な物、作った物を運ぶのに必要な物、学校で必要な物、物を作るのに必要な物等、作るべき物の種類は数える気もしないが、1億種類以上はある。計画経済では、その物を必要とする人間の数を考慮して物の生産数を計画しなければならない。高々数万人の共産党上層部の力で計算しきれるだろうか。とても無理だ。そして案の定、物が足りなくなったり余ったりして共産主義経済は破綻した。
資本主義はどうかというと、この計算をみんなで手分けした。個人個人が利益を追求するだけで「見えざる手(アダム・スミス参照)」によって自然調和が図られ、社会全体の利益が達成されるはずだというのが基本原理だ。たとえ物の種類が1億以上あっても、その生産量の計算を人類数十億人で分担して行うのだからできないことはなかろうと。そしてそれは実際に共産主義よりは効率が良かったから資本主義社会が存続し続けられている。
ただし、資本主義も計算能力の不足が顕在化してきた。地球温暖化を止められない事実、経済格差がどんどん進んでいる事実は、とても社会全体の利益を達成しつつあるとは言えない。経済が複雑になったものだから、80億人で分担して計算しても、もう計算しきれないのだ。
で、どうすれば良いかなんだが、答は意外と簡単だ。データ集めと計算だけは得意な相棒が目の前にいるじゃないか。コンピューターだ。コンピューターに計算を助けてもらえばいいのだ。
そのうち無能な政治家と経済専門家は不要になる。コンピューターの方がうまくやるからだ。しかもコンピューターには私利私欲がない。コンピューターの方が今の政治家より信頼できる。
私はAI開発で行き詰った社会を何とかしようと日々研究しているが、そこで分かってきたことがたくさんある。政治家とか役人は近い将来コンピューターに置き換える見通しは立っているが、宅配便屋さんの代わりができるコンピューターというかAIロボットを開発するのは、かなり遠い未来になりそうだということもそのひとつだ。だから私は簡単な仕事もできない政治家に頭を下げることはないが、難しい仕事をしている宅配便屋さんには頭を下げる。

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