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2006/09/30
遺伝子組み換え作物
私はずぼらな性格上,遺伝子組み換え作物を気にしていなかった.ところが,大学関係の会合で生物学科系の研究者と接してから考えが変わった.あれは危ないぞと.遺伝子組み換えの作業は干ばつ耐性を付けるとか農薬耐性をつけるとかのある目的を持って行うのだが,何と何をどう組み合わせたらその目的に沿うものができるかのメカニズムはよく分かっておらず,片っ端から試してみて結果を評価して組み換え作業の成否を判断する.博打とさほど変わらない.これでは出来上がったものが安全かどうかなどが保証できるはずがない.もし安全を証明したければ想定される危険の可能性をすべて確かめなければならないが,時間を経てから現れる危険性まで全て検証できるはずもなく,実質的に安全性の保証は不可能だ.遺伝子組み換え作物を食べるのは危険だ.これに関しては捕鯨にヒステリックな反応をするので大嫌いな団体であるグリーンピースがよくまとめてある.
生物学系の研究者は二言目には「研究費が足りない」と言う.研究など紙と鉛筆と少々のポケットマネーがあれば大丈夫と思っている我々には,以前からこれが不思議だった.ところが彼らの研究が博打の一種だと知ってから納得した.誰よりも早く当たりを引くには,お金をかけて多くの試行をした方が有利だから,結局研究費勝負になるのだ.なんだかなー.これって知的とは言えない生業に思える.山師と何が違うのかなあ.そういえば,天文学者や考古学者も何だか山師風だし,私の頭の中にある研究者像ってのは理学とか数学とかにひどく限定されたものだったかもしれない.
2006/09/24
過去ログ・マニュアル読めと言うけれど
掲示板にて他者に対するgiveをせずにtakeだけを求める教えてクンを追い払うときの決まり文句が「過去ログよめ」「マニュアル読め」だ.たいていの場合はこの対処が適切であるのだが,そうやって切り捨てられない場合もある.マニュアルは紙面の都合上十分条件しか書かないので,マニュアルに完全に従おうとすると却って困る場合がある.例として私の昭和一ケタの父親の場合を紹介しよう.先日その父親にお古のルーターをプレゼントした.私にしては珍しくマニュアルと添付CD一式を保存していたので,それも合わせてプレゼントした.ルーターを設定しようとした父はマニュアルを読んで最初に書いてある「ファイアウォール機能のあるアンチウィルスソフトは止めてください」でつまってしまった.止め方が分からないので先に進めなくなったのだ.その日はそれで設定を放り出してしまったとのこと.父のマシンに入れてあるアンチウィルスソフトはAVG Freeだが,これにファイアウォール機能があるかどうかが父にはそもそも分からない.その後私にメールで聞いてアンチウィルスソフトを止めなくて良いことを知った父は次に進む.マニュアルの次には設定ソフトをPCにインストールしてそれでルーターのIPアドレスを設定しろとある.この設定ソフトが困りもので,添付CDに初めから入っていたソフトでは最新のファームウェアにアップデートしたルーターを認識できないのだ.これはあらかじめ私が知っていたので「設定ソフトの項は無視して,これこれこういう方法で次に進んで」と指示した.マニュアルに従っていたらここでもつまって先に進めなくなっていたはずだ.このようなやり取りをさらにもう1回繰り返してやっとルーターの設定が成功した.父のような本当の初心者の場合は,疑問を他人に聞くしかない場合がある.もちろん第三者に聞くよりは家族や知人,それよりはメーカーのサポートに聞いた方が筋が良いだろう.掲示板の過去ログも参考になるだろうが,過去ログが大量にたまっている場合は全部もれなく検索するのは難しい.しかもその過去ログに自分の疑問点にストレートに答えてくれる情報があるかどうかは分からないのだ.このような状況では教えてクンが発生しても仕方がない場合もあるだろう.教えてクンを追い払うときは,単にひどい言葉で切り捨てるのではなく,掲示板はgive and takeの無償助け合いの場であること,聞くのがやむなしの場合かどうかを切り分けるために状況を詳しく報告する必要があることなどを分かりやすく諭してあげるのが良いのだと思う.
2006/09/11
現代数学の流れ1と2
岩波書店発行の現代数学への入門シリーズに「現代数学の流れ1」「現代数学の流れ2」という巻がある.図書館から借りて読んだがたいそう楽しめた.まるでスピルバーグの良く出来た映画を観ているように感じて一気に読めた.このシリーズの他の巻も読んだがこれらは難しく,1巻を読破するのにずいぶんと時間がかかる.他にも現代数学の展開シリーズもあるがこちらはさらに内容が難しい.
流れ1と流れ2だけが読み物風に書かれていて数学に詳しくなくても楽しく読めると思う.ただし,その分野にある程度慣れ親しんでいる章は楽しさが倍増する.その意味では他の難しい数学の本に取り組んで苦しんでから読む方が楽しみが増えるかもしれない.
これらの本には立派な仕事をした数学者の話が沢山でてくるが,みなさん若い頃にその仕事を完成させている.数学は年齢が若くないと難しい学問らしい.私は数学者になりたい訳では毛頭ないが,今直面している課題を解決するツールとして数学を自在に使えればどんなに便利だろうと思っている.そのためには数学をよく学びたいのだが,昔ほど頭にすんなり入らなくなっていることは否めない.もっと若いときに学びたかった.私が10代20代の頃に数学はきっと役に立つよとアドバイスしてくれる人がいてくれたらと残念でならない.数学の授業では,仏頂面で生徒が分っても分らなくてもマイペースで講義する先生ばかりだった.あの先生達は今でも同じ教え方をしているのだろうか.
2006/09/06
うまい支配の方法(ワーキングプア関連)
第二次大戦の記録によるとスターリンによるロシア国民(ロシア内に住む他民族)の虐殺が1700万人,ヒトラーによるユダヤ人のそれが600万人とのことだ.殺される側にとっては合計が何百万人だろうと関係なく,自分がそれに入っているか否かの問題なので,人数の多寡を議論しても仕方がないのだが,あえてこの人数の多さについて議論してみたい.というのも,ドキュメンタリー映像でユダヤ人収容所の様子を見ると監視している兵隊がひどく少ないのが気になったからだ.そのとき思ったのが「全員で飛びかかれば兵隊をすぐに制圧することができるのになぜしないのだろう」ということだ.アメリカの同時多発テロでは,ハイジャックされた航空機の乗客がテロリストに抵抗してテロの完遂を防いでいる.何もしなければ100%死ぬと分かっている極限状況では,人は死をも乗り越えた行動を成し遂げられることをこの事件は証明している.それなのに,ユダヤ人収容所でなぜこのような抵抗がなぜ少なかったのか想像してみた.おそらく2つの理由からだろう.
(1)最後のそのときまで殺されることを収容者に教えなかった.殺される直前まで(偽の)希望を持たせていたのだ.死ぬと決まっていない状況で死を賭してまで抵抗する人は少ないだろう.
(2)監視にユダヤ人から選抜した人間を使っていた.これはドキュメンタリー記録で知った事実だ.これによって監視側兵隊の人員不足を補っていたのだ.選抜された方は「自分だけは生き抜く可能性が高くなる」と信じて仲間を殺す手伝いをしていたのだ.悲劇だ.
いずれにせよ,支配される側に少しの希望を持たせることがポイントだ.パンドラの箱の寓話で「パンドラの犯した最大の罪は最後に希望を箱から飛び出させたことだ」というのがあるが,なるほどと実感できる.と,ここまでなら昔の歴史の話で済むのだが実は現在も同じことが起きつつある.派遣社員やパートの労働者の低賃金の問題だ.彼らの中には生活保護水準である200万円弱よりも少ない年収の人もいて,ワーキングプアと呼ばれる.彼らが不当な条件で働いてくれるのは,努力をすれば人並みの収入が得られるかもしれないという希望を持っているからだ.ところが,実際は努力をしても収入が上がる訳ではないようだ.ひどい話だ.ここにも第二次大戦で使われた支配の方法が狡猾に取り入れられている.
ワーキングプアほどの酷さではないが,一般企業内にも似たような支配方法がうまく使われている.いつかは昇給するだろうと信じて一生懸命働いているサラリーマンの人も実は同じように支配されている可能性がある.実際はどうだろうか.企業によって状況は違うだろうが,ちゃんと働いて結果を出している人がみんな報われているだろうか.
2006/09/03
やっと涼しくなったが
9月になってやっと涼しくなってきたが,今年の夏は昨年より暑いように感じた.何でも地球温暖化のせいにするのはどうかと思うが,普段より暑かったり変な天気に出会ったりすると地球温暖化のせいではないかと思ってしまう.地球温暖化の予想進行速度は地球シミュレーターにより計算されているが,この計算によると温暖化の進行はかなりゆっくりだ.この計算に従うとすると数年間のスパンで体感できる変化はないはずだ.今年の暑さや変な天気は単なるランダムなブレの範囲なのだろうか.予測が何かひどく間違っていて,温暖化進行速度を低く見積もりすぎているのではなければ良いのだが.
近代の科学では,提案した仮説を正しいと示すためには,数学的な証明か繰り返し実証可能な証拠が必要だ.それらがない仮説は却下される.地球温暖化の進行速度が現在の予想よりももっと早いという仮説を立てたとして,それを証明するにはそれなりのデータが必要だ.そうでなければ変な宗教の教祖のお告げと同格と見られてしまう.北極やシベリアで異常な状態が観測されているが,これらはまだ地球温暖化の進行速度予測値を変えるほどのデータとはみなされていない.
地球温暖化の度合いを地球の平均気温の上昇で表わす場合が多いが,これだけで判断するのは適切ではないかもしれない.温暖化の影響として気象のばらつきが大きくなることも指摘されている.ばらつきとは例年より大雨が降ったり,ひどい干ばつになったり,巨大な熱帯低気圧が発生したりすることを指す.温暖化の代表値として平均気温を用いるのは一見合理的に思えるが,この値だけで判断するのはどうかと思う.温暖化の影響は平均気温よりも,気象のばらつきの方がより実際的に表わせそうだ.シベリアの気温が5度も上昇するとか,極地の氷が融け出しているとかはばらつきの影響とすれば説明できる.