比例道
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2006/08/29

ベンチマーク乱立

モバイル用Core 2 DuoとCore Duoのベンチマーク比較記事が出た.期待していた情報なので興味深く読んだ.しかしCore 2 DuoはCore Duoに比べて約1割消費電力が増え,約1割性能が向上したというあまりにつまらない結果となっていた.約1割の性能向上というのは複数のベンチマークの平均値で,細かく見ていくとSSE4を使用するSandra 2007a Processor Multi-Media Benchmarkでは2倍超の性能向上,エンコードでは2割の性能向上,それ以外のテストでは1割以下の性能向上となっていた.
ここで何時もうんざりするのが,ベンチマークの種類の多さだ.プロセッサーの性能指標を一つのベンチマークで表現するのが難しいのは理解しているが,次から次へとベンチマークテストを作りあげるのはどうかと思う.これほど沢山出てしまうと,ベンチマークは自分に都合の良いものを作っても構わないのだなと勘違いする人が出ても不思議ではない.実際そういうつもりでベンチマークを作っている場合もあるだろう.これではベンチマークを信頼しろと言っても難しい.何とか客観的な指標にできないのだろうか.
スーパーコンピューターの世界ランキングを決めるベンチマークもベクトルパラレル機向けとスカラパラレル機向けが存在し,どういうベンチマークを使うかでランキングが異なる.これで世界ランキングと言えるのだろうか,いっそ「ゆめりあベンチでのスーパーコンピューター世界ランキングも発表したら」と皮肉を言いたくなる.
客観的な統一指標を作るのが望ましいと言っても,PSNRというトンデモ系の現実とは解離した指標を神のようにあがめたてまつる画像系の学会の連中のようになるのも考えものだし,なかなかに悩ましい問題だ.もしかしたらプロセッサーパワーを表わすのに統一指標を無理に作らずにそのつど指標を決めているのは,PSNRのような怪しい指標を使うよりはなんぼかマシだろうという判断なのかもしれない.

real name: diary/20060829

2006/08/25

FOMAの無線性能はまだダメ?

アドバイザーとして出席してくれとの依頼で,顧客との会議に参加した.この顧客は技術の専門家ではないのだが,論理的な思考と地道な作業を重視している人たちのようで,感心する意見や目からうろこの意見をたくさん聞けた.顧客の会社では,社員に通信端末を持たせて会社と通信する場合があるそうだが,これにAUの携帯電話を使っているそうだ.端末性能の観点からWILLCOMのW-ZERO3やDoCoMoのM1000などいろいろ検討したそうだが,日本中に社員がいる関係上,エリアに難があるWILLCOMとDoCoMoのFOMAは採用できなかったとのこと.並の企業なら何も考えずにDoCoMoにするところを,きちんと検証して判断する辺り只者ではないと思った.
また,RFIDについても興味深い意見が聞けた.物を区別するのに光学センサーを使っているそうだが,RFIDの方が筋が良いのでは聞いてみたところ,それは既に検討してダメだと結論が出ているとのこと.なぜかと聞いてみたらRFIDに使う電波の周波数は周囲の液体に吸収されて減衰してしまうためだとのこと.RFIDにこのような欠点があるとは思いもよらなかった.ちょっと考えれば分かりそうなものであるが,これに気付いている人は案外少ないのではないか.なかなかためになる打ち合わせだった.

real name: diary/20060825

2006/08/19

オットーサイクルの熱効率と圧縮比

F&Fの掲示板でノッキングの話題が議論されていた.レシプロエンジンでは圧縮比を上げていくと,ノッキングの悩みが出てくる.なぜノッキングなどの困ることがあるのに圧縮比を上げたいのかと言うと,熱効率を上げて最大出力を上げたり,燃費を良くしたりしたいからだ.車に積まれているガソリンエンジンはオットーサイクル風に動いていて,その熱効率は概ね以下の式で表される.
熱効率=1−1/(圧縮比^(比熱比-1))
式だけ眺めていてもつまらないから数値をあてはめてみよう.車のエンジンだと圧縮比は7から12くらい.比熱比は混合ガスの物性値でいろいろな値を取りうるが1.3くらいとしておく.

圧縮比熱効率
744%
846%
948%
1050%
1151%
1253%
こんな具合で熱効率は変化する.圧縮比をたとえば8から9へ1増やすとピストンにかかる圧力は1割以上増え,それとは別に燃焼温度は上がり,それらに耐える作りが必要になる.これは結構大変なのに増える熱効率はたったの2ポイントだ。工学屋さんで2ポイントをたったと思う人はどうも少ないらしいが,私はそう思う性格だ.私は「2ポイントの出力差くらいなら,運転技術でカバーして速く走ってやろうと思わないのか」「数%の燃費のような小さいことを気にするなどみみっちい.もっと大きな大事なことを考えるのが男というものだろう.」と思うタチだ.それが災いしてか,標準的な研究者や技術者とはなかなか価値観を合わせられない.互いの論文上の評価尺度を合わせようなどという表面的なことはもちろん異議はないのだが,論文の背後にある「こんなことをしてなぜうれしいのか」という点では意見が食い違う.
そういう訳で私が趣味で設計するエンジンはやたら余裕があって,怪しい材料や工作精度の悪い部品で組んで,変な燃料を入れてもとにかく回るというものになりがちだ.本音を言うと細かい計算が面倒だから安全率に余裕をみて(み過ぎて)いるだけだ.最近知ったのだが,ロシアのAK-47という銃が同じ設計思想で作られているようだ.何でも基本部品は8個しかなく,町工場で生産でき,子供でも組み立てられるとのこと.設計者のミハイル・カラシニコフ氏は戦車長として実戦を経験した後に銃の設計に携わったとのこと.この経歴ならではの設計思想と言える.私も30代までは営業や機械工をしていて40代から研究畑に入ったので考え方が似ているのかも知れない.

real name: diary/20060819

2006/08/12

CORCORでラムレーズン

CORCORという南大東島産のラム酒を那覇市の酒屋で求めた。観光中に偶然CORCORののぼりを見かけてふらふらと迷い込んだ酒屋で見つけた。赤ラベルと緑ラベルがあり、私が求めたのは安い方の赤ラベルで720mlで3千円ほどだ。緑ラベルは4500円もする。開けると良い香りがする。安ラムの代表であるバカルディの香りより数段上等だ。さっそくストレートで口に含んでみて、少々落胆した。鼻でかぐと良いと思った香りだが、口に含むと化学薬品系の臭いが混じっている。ちょっとこのままでは飲めない。高い方の緑ラベルにしておけば良かったのか。とは言え、赤ラベルでも結構な値段がするのだから、そこそこの品質は期待していたのだが。残念だ。カクテルにすればこの臭いをカバーできるかと思って、果汁と混ぜたり、コーラと混ぜたりして試行錯誤してみた。グレープフルーツなどの柑橘系の果汁とまぜれば嫌な化学薬品臭が弱くなるのだが、それでもおいしいとは言えない。柑橘系でないパインや桃やバナナではダメ。ラムに合うはずのコーラと合わせてみても全然ダメ。まったく旨くない。
瓶にはまだ3/4以上残っているが、これはもう捨てるしかない。ひどい買い物をしたものだと思った。もしかしたら、私の求めた瓶だけが何らかの理由で品質劣化をしていたのかもしれないと思ったが、製造年月日は2005年の夏なのでそれは考えにくい。さとうきびをどう扱ってもあの化学薬品臭が付くとは思えない。製造過程でプラントのオイルでも混入したのか。今更那覇市の酒屋に連絡して原因を調べてもらうのも面倒だ。やっぱり捨てるしかないか。そこへ娘がやってきて「ラムレーズンつくる」と言い出した。富澤商店で買ったオイルコーティングなしのレーズンに残っているCORCORを惜しげもなく注いだ。どうせ捨てるつもりだったので惜しくない。そうやって2週間おいてできたラムレーズンを食べてみた。そしたらびっくり、いままで食べたどんなラムレーズンよりもおいしい。ハーゲンダッツアイスクリームの中のラムレーズンなど足下にも及ばない。このラムレーズンを使って娘が作ったARIさんレシピのマフィンはめちゃうまだ。この使い方をすればCORCORも生きる。ただし、すさまじい単価のラムレーズンだ。同じことをもう一度しようとは思わないが、娘にねだられたらまた買うかもしれない。

real name: diary/20060812

2006/08/11

燃費向上インチキグッズ

娘がTVで燃費がよくなるグッズの実験を見たとのこと。「ハンドルの横の筒に差し込む機械で燃費がよくなるのは変だ」と感想を述べていた。ハンドルの横の筒とはシガーライターソケットのことだろう。おそらくはキャパシターを内蔵した機械を燃費向上グッズと称して売っているのだろう。あの手のグッズは100%インチキなのだが、結構売れている。まじめに議論すると、これらインチキグッズにだまされる原因はゆとり教育であり、それらのために論理的思考の源になる理科や算数の能力が減少してきているからだとなる。しかし、もうこれは一種の宗教やファッションみたいなもので、使うのは個人の自由と考えた方が腹が立たない。携帯に貼る受信感度アップシールや、山田奈緒子の母君が販売している文字の力グッズのようなものだ。
それでも、おそらく数ヶ月もしたら詐欺だとの訴えが起こり、業者が逮捕されるとは思う。アメリカの方が日本に先駆けて売れているそうだから、訴訟か起こるのはアメリカが先だろう。それをきっかけに燃費グッズブームは下火になっていくと予想する。カーマニアでも燃費のメカニズムをきちんと説明できる人は少なく、自動車専門学校でエンジン整備を学んだ人にもなかなかに厳しいテーマだ。それくらい燃費を議論するのは難しい知識が必要だ。
私の大学は機械工学科に動力機械工学専攻というのがあって(今は航空宇宙工学専攻という今風の名称に変わった)、そこでエンジンのことを教わる。理論だけでなく、エンジンの設計(私は2800ccの6気筒を設計した.)やエンジンの製図などを実習で学ぶ。実習は楽しかったが、理論は構造力学と流体力学と熱力学と化学を理解せねばならず難しかった。そこの卒業生でも自動車メーカーのエンジン設計屋さんの知識とはずいぶん乖離がある。その設計屋さんがしっかり考えて設計したエンジンの燃費がDIYでくっつけられるグッズで改善されると思うとは、設計屋さんに失礼だ。まあ、日本の車は100km/hを超える領域では燃費改善の余地があるのだが、それはコストも考えてそのように設計しているのであって、設計屋さんの力不足ではない。

real name: diary/20060811
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