外国の投資会社のニュースを聞いた.数年前には200人いた株式トレーダーが今は2人だけだと.これは人工知能に取って変わられたのではない.高速裁定取引に変わっているのだ.裁定取引(アービトラージ,サヤ取り)というのは相場の歪みが修正されるのを狙って収益を得る手法だ.高速裁定取引は経済イベントによる相場の歪みの発生と終息を利用している.経済イベントを高速に受信し,注文を高速に送信するために,TCP/IPパケットを受信して解読,構成,送信する専用ハードウェア(ASIC or FPGA)を使う.普通のギガビットイーサのNICをソフトウェアドライバで動かすのでは遅すぎるのだ.裁定取引はその取引の利点が知れ渡ると利益を出せなくなるものだが,経済イベントを知って手動で注文を入れる一般大衆や専用ハードを買えない貧乏企業がいる限り,この裁定取引は使える.金持ちがさらに金持ちになるという構図だ.

それでは,この裁定取引に勝つにはどうすれば良いか.経済イベントがらみのスキャルピングでは人間は機械には勝てない.しかし,スイングトレードより大きい期間のトレードでは勝つことができる.いちばん簡単なのはバフェットのように優良企業に長期投資することだ.自分の残りの寿命が50年以上あるならバフェット式投資をすれば良い.特に難しい技術は要らない.だって,スバルが良い車を作っていることは誰でも分かるのだから.スバルの株を買って10年以上持っていれば良いのだ.明治HDの株を買うのでもよいし,日清HDの株を買うのでも良い.自分の普段の生活を振り返れば,どの銘柄を買えば良いかは簡単に分かる.逆に人口減少,不動産価格の低下というニュースを知れば,不動産関連の株を買ってはいけないことも分かる.もし持っていたら売らなくてはならない.