SPI Air War とフォークランド紛争

Simulations Publications Inc. (SPI)がAir War(邦題:空戦マッハの戦い)を出したのが1977だ。日本ではホビージャパン社が輸入してマニュアルを和訳して売っていた。エリア88で使われている機体でプレイできる珍しいゲームなので、夢中でプレイしたものだ。
あるときフリーシナリオで弟とプレイした。私はドラケンを使い、弟はハリアーを使った。そんな亜音速機でマッハ2級を相手にできるのか?と思ったが、ドッグファイトを始めてハリアーの威力を思い知った。キャノンで撃ち合うにしても、ミサイルを使うにしても圧倒的に強いのだ。ドラケンをトムキャットに代えてもかなわない。F-16でやっと互角というところだ。 ハリアーの強さの秘密は機体の向きを変えるのに、エンジン推力を直接使えることだ。キャノンでのドッグファイトはもちろん、ミサイル戦でも機体の向きはとても重要だ。赤外線ホーミングでもレーダーホーミングでもミサイルは発射前に敵機にロックオンしなくてはならない。ロックオン可能範囲は機首の方向を中心とした扇形だ。ドッグファイト中に、あと10度機体の向きを変えられたらロックオンできるのにと思うことはしばしばある。そのようなときにハリアーは垂直上昇用のノズルを使って向きを変えることができる。また、敵機の攻撃をかわすときも、機体の向きを変えて自他のオフセットアングルを大きくするのは効果的だ。ハリアーは相手を視認できる状況では最強の戦闘機なのだ。こいつに勝つには電子装備の優れる機体で相手に分からない位遠方から気付かれないようにミサイルを撃ち込むしかない。
そしてフォークランド紛争(1982)が起こった。どのような戦いが行われたかは終戦後ずっと後になってから知ったが、やはり英軍のハリアーが圧倒的な勝利をおさめたとのことだった。相手はマッハ2級のミラージュだ。これを知ったときにAir Warのシミュレーションの正確さと、弟の判断力とに感銘したものだ。フォークランドで実証されるまでは、誰もハリアーが強いとは思っていなかっただろう。ただハリアー乗りだけは自分の機体が最強だと知っていたらしい。
MZ80KによるAir War Aid